カミロイ人の見た世界

　私も経験があるが、普段は出かけない場所に行った時には「忘れ物」や「落とし物」が結構ある。土産物を買ってその店に置き忘れるとか、休憩した観光名所やバス、電車に鞄を置き忘れるなど本当に「呆けてきた」かと思えるような経験が年をとってくると頻繁に起こるようになる。もっとも若いうちからこんな事が起こるようでは先が思いやられるが。


　そんな折、日本ではその落とし物を正直に届けてくれる人がいて、落とした物によってはいくら感謝しても足りないと思えることがある。その際には直接会って御礼を言えればいいのだが、遠方の住まいの方だったり、「お互い様ですから御礼は不要です」と言い残している人もいて、こちらが恐縮してしまうことが多い。

　届け出主の住所、氏名が教えてもらえる場合は普通御礼状を出すものである。個人情報がどうのこうので教えてくれない場合は除き、感謝の気持ちを込めて品物（粗品）を、感謝状を添えて出したいものだ。

例文）
前文失礼いたします。
このたびは大切な財布を拾ってお届けくださいましてありがとうございました。
警察では「現金とカードと免許証入りの財布ではたぶん出てこないでしょう」と言われました。
半ば諦めていただけに、連絡を受けたときには大変な喜びでした。
私の不注意から無くしたとはいえ、お恥ずかしい限りです。
それを拾って届けていただき、本当にありがたく感謝に堪えません。
御礼のしるしまでに郷里の名産「和三盆」をお送りいたしました。お召し上がりください。
末筆ながら、あなた様のご多幸をお祈り申し上げます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　不　一

　人生は山あり谷あり、それに伴って出会いがあるのだから不思議なものだ。